Annex of Theatrum Mundi

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ファウスト Vol.3感想

ひとことでいうと、「ファウスト系」もしくは「ファウスト路線」の完成を見た感じ。ファウストという名のジャンル、もしくは予定調和を新たに作ろうと努力した成果が実になったようです。最近この単語は使われなくなったような気がするけど、「大衆小説」の集合としてファウストは市民権を獲得したようにも見える。このことは、この本を読むことは私にとってもはや日常以外の何者でもなくなったことを意味する。退屈な日常の一服の清涼剤、それだけの価値しか私には見出すことが出来なくなってしまった。これはファウストが変化したのではなく、私自身が変容したことに基づくものなので、ファウストの社会的な勝ちを貶めるものでは決して無い。しかし、そこに私が関与することの無意味さが見えたような気がする、それだけのことだ。