Annex of Theatrum Mundi

絶賛更新停滞中のはてダに加えて停滞するblog的な何か

エロゲの進化というか発展の歴史っぽいもの(何ヶ月放置プレイしてしまったのか・・・)

エロゲ文壇デビュー作として、こんなのを書きます。一応気をつけて書いているつもりですが、誤り等がありましたらご指摘くださるとうれしいです。私はかなり狭い観点から書いていますので、より総括的な話が読みたい方はこちらをお勧めします。
日本におけるPCの黎明期から、エロゲはあった。今となっては想像も出来ないが、光栄(現コーエー)や日本ファルコムエロゲーを作っていた時代があったほどである。この時代のエロゲーを一言で総括してしまうと、「野球拳」である。エロい画像を見るためには何かしらの課題をこなさなければならないシステムをとっているものが多かった。このようなシステムを採用した理由として考えられるのは、当時は容量が少ないので少ない画像の枚数でゲームを成立させるためだと思われる。今でも結構多いかもしれない。いわゆる「脱衣麻雀」もここに含まれる。この「野球拳」モデルの一例としてここで挙げるのは、「177」。女の子を追っかけて捕まえて強姦するだけというシンプルかつろくでもないゲーム。このゲームの特徴としては、とにかく難しい(タイミングがシビア)こと。
次に登場したのが、「メディア」モデルである。要は、アダルトビデオと一緒でエロい絵を見せるためにPCという媒体を使ったシステムである。これは、NECPC-9801というPCが普及して、容量に比較的余裕が出来て可能になったシステムといえる。特に課題も言い訳も無く、ひたすらエロを追求している。例としては、アリスソフトの「あゆみちゃん物語」がある。これは本当に只ヤリまくるだけのステキなゲームである。後に実写版も出るという偉業(?)を達成している。
最後に現れたのが、「擬似恋愛」モデルである。登場キャラクターと恋愛関係を樹立し、その結果エロ画像を見ることが出来る。これも「野球拳」モデルの一種ともいえるのだが、課題が「キャラクターを口説く」ことなのが特徴である。別の言い方をすれば、攻略対象が複数登場するとも言える。「To Heart」以降雨後の筍のように増えたビジュアルノベルも大半はこのモデルに含まれる。このモデルで最も有名なのが「同級生」であろう。続編の「2」の方が評価は高いみたいである。
以上のようなゲームのシステムの観点に加えて、登場キャラクターの観点からエロゲーの時代的な発展を追ってみる。システムのときと同様に大雑把に年代を3つに区切って展開する。
80年代には、萌えという言葉が無かったのでいわゆる属性というものが明確には存在しなかった。もちろん伝統的な「眼鏡っ娘」というキャラクターは存在していたが、「眼鏡を外すと可愛い」というものであったので、現在とは消費のされ方が多少異なる。ヒロインはストレートのロングヘアーというのが定番であったが、一説によると、ヒロインの条件が「緑色の髪でショートカット」という時期もあったらしい。
90年代初頭から、現在につながるキャラクターが登場する。はっきり言ってしまえば、「同級生2」以前以後で時代を分けることが出来る。この作品から「眼鏡をかけているから可愛い」キャラクターや、「病弱」キャラクターが市民権を持ち始め、属性という言葉が使われるようになる。「(義)妹」キャラクターの流行もここが出発点と思われる。しかし、属性はあくまで一人のキャラクターに1つだけであった。
そして、90年代後半に一つの怪物ソフトが現れ、また時代が変化する。そのソフトは「To Heart」。エロゲー史上はじめて売上が10万本を突破したソフトであり、(ゲームシステムのところでも触れたが)ビジュアルノベルが台頭するきっかけでもある。属性を複数組み合わせ、新たな属性を開発した(眼鏡+真面目=「委員長」とか「メイドロボ」)という点でも特筆すべきものがある。これ以降、属性はキャラクター政策のツールから前提条件へと変化し、その結果どこで見たキャラクターが蔓延するという事態を招いてしまったともいえる(この辺は東浩紀・著「動物化するポストモダン」に詳しい)。
以上のような歴史を経て、現在ではエロゲー週刊プレイボーイの袋とじになるくらいに市民権を得た。かつては「どんなエロゲーでも最低1万本は売れて、3万本売れれば大ヒット」といわれたが、現在では相当様変わりしているはずである。上記の論で抜けている大きなものとしては、いわゆる「泣きゲー」の登場である。これは、おそらく「物語」の観点から論ずることが出来ると思われるが、この観点に関しては既に多くの分析があるのでここでは触れなかった。かなり適当な論で恐縮だが、この辺で終了させていただく。何か異論・反論・オブジェクションがあれば、BBSやメールで指摘して欲しい。