Annex of Theatrum Mundi

絶賛更新停滞中のはてダに加えて停滞するblog的な何か

感想・和風Wizardry純情派(id:WizDiary)

Wizardry 狂王の試練場」の舞台を現代日本に移して描かれた作品。はてなのシステムをうまく用い、登場人物の日記形式でストーリーが展開する。「隣り合わせの灰と青春」や「風よ、龍に届いているか」などWizardryを題材にした小説はいくつかあるけれど、主人公が冒険者(本作では探索者)になりたてのところからストーリーが進むものはあまりないのでその点で非常に優れていると感じた。またどんなに実力のあるキャラクターも死亡する可能性があり、簡単に部隊が全滅する点で原作(ゲーム)の世界観を忠実に再現しているのも良い。そしてその世界に生きるものとその世界に生きていないものの温度差(覚悟の違いと言っても良い)を誠実かつ冷静に描写しているのは作者の高い力量を感じさせる。Wizardryの世界を生かしつつ、Wizardryを知らない人でも読める小説を書き上げた作者に拍手を送りたい。